2010年09月03日

バッハ「無伴奏チェロ組曲」第1番(スラーなし)

「無伴奏チェロ組曲第1番」JPEGJ.S. Bach "Cello Suite" No.1 (G major) without slurs

「無伴奏チェロ組曲」第1番(むばんそうちぇろくみきょくだいいちばん)ト長調(スラーなし)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ 作曲

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「無伴奏チェロ組曲」第1番(ト長調)PDF

当書庫の「無伴奏チェロ組曲」の楽譜についてはこちらの記事をご覧下さい。

スラーなしの「白楽譜」です。
現存する「無伴奏チェロ組曲」の筆写譜は互いにスラーが異なるところが多いので、いっそのことスラーを全部取り払って、奏者が自分で書き入れられるようにしてみました。あるいはスラーを書き込まず、いろいろとボウイングを試してみるのにも適しています。外観の点では、なるべくアンナ・マグダレーナの筆写譜を再現してみました。

プレリュードの第26小節、3拍目の2番目の16分音符に♭が付いている楽譜がありますが、これは4つの筆写譜全てが4つめの16分音符だけに♭を付けており、疑いもなくC#-B♮-A-B♭です。旧バッハ全集(およびパリの初版譜)が当時の趣味で2つ目の16分音符をB♭にしたのがいつまでも残ってしまっています。

第33小節の3拍目から第36小節の2拍目まで、4つの筆写譜すべてがA音をD弦とA弦の重弦(ダブルストップ)で弾くように書いているにも関わらず、ドッツァウアー版(1826年)以来近年に至るまで、D弦とA弦を交互に弾く書き方になっていました。ここはフルストップのオルガンのように最大限の音量で堂々と弾かなければなりません。詳しくはブログ本館の記事をご覧下さい。

あまりやりたくないのですが、注意を促すためこの部分に弦を示すローマ数字と、イタリア語で重弦を意味するcorde doppieを書き入れました。この重弦が常識になった時には消すつもりです。

アルマンドの23小節目の3つ目の16分音符はアンナ・マグダレーナではB♭になっています。これは判断に苦しむところですが、ケルナーははっきりと♮を書いており、私もアンナ・マグダレーナが写し間違った可能性はあるとは思いますが、このB♭も独特の何か苦しむような表情を持っており否定し切れないので、上に小さく♭を記しました。判断は奏者におまかせします。

サラバンドの13小節目は、いろいろな筆写譜および印刷譜において最も相違を見せているところで、アンナ・マグダレーナの筆写譜には臨時記号は何も書かれておらず、またケルナーでは1拍目のFには♮が付いており、2拍目のFには何も書かれていません。

私はバッハの自筆譜はおそらくケルナーと同じで、1拍目のFには♮が付いており、2拍目のFには何も書かれていなかったと想像します。アンナ・マグダレーナは♮を書き落としたのでしょう。当時は同じ小節内でも隣り合っていない限り臨時記号は1つ1つの音符に付けられた(ただし同じ拍内であれば、隣り合ってなくても付けないことがある)習慣から、バッハは5番目の音はF#と考えていたでしょう。結局旧バッハ全集(1879年)の編集者による、現在最もよく演奏されている D-EF♮ E-F# GABC (音名は英語式)という形が正しいと思われます。

しかしながら、このように2つのFが隣り合ってはいないものの近くにある場合、もし2拍目のFがF#ならば#を書くのが普通であり、#を書かなかったのはバッハの不注意と言っていいでしょう。

ところがさらに資料C、および資料Dと呼ばれる筆写譜、および初版譜においては D-EF♮ E-F# G#ABCという意外な記譜がなされていますが、これでは和音進行がG7→C→Amとなり、この小節の調性が一体何なのかはっきりせず、これはありえないと思います。

また第1メヌエットの22小節目の最後の8分音符を、アンナ・マグダレーナの筆写譜ではDのところをケルナーに従いEに修正しました。 もしもDだとするとあまりにDが連続して不自然なので、これは単純な筆写ミスだと思います。

ジグの32小節目は私が「無視された半小節」と呼んでいるもので、初めて目にされる方は驚かれるかもしれませんが、アンナ・マグダレーナの筆写譜にはっきりと書かれているもので、これは紛れもなくバッハが後に書き加えたものです。詳しくはブログ本館の記事をご覧下さい。

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2012年12月29日、ケルナーの筆写譜にあるトリルを取り入れました。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この楽譜は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。

この楽譜は Finale で書きました。
posted by 横山 真一郎 at 06:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 無伴奏チェロ組曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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