2010年09月02日

バッハ「無伴奏チェロ組曲」(スラーなし)の楽譜について


J.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲」(全6曲)は、バッハの自筆譜が発見されておらず、いくつかの重要な資料は互いに異なる部分が多く、バッハが本当に意図したものを知ることはきわめて困難です。

にほんブログ村 音楽ブログ 楽譜・音符へ人気ブログランキングへ


どの音を選び、どのように演奏するかは、最終的にはそれぞれの奏者が決定するほかありません。

<<ブログ本館「パリの東から」には「無伴奏チェロ組曲」に関する様々な記事がありますので参考にして下さい。>>

アンナ・マグダレーナ・バッハ(バッハの2番目の妻)による筆写譜は以前から出版されていましたが、ベーレンライター出版社が近年、アンナ・マグダレーナや、バッハの弟子でオルガニストのケルナーなどによる4つの筆写譜と世界最初の出版譜のコピーに、校訂報告、そしてスラーなしの楽譜をあわせて出版しました。

さらに現在ではそれらの重要な資料(4つの筆写譜)が無料楽譜サイトIMSLPにも掲載され、世界中の誰もが見ることが出来るようになりました。

当書庫の楽譜は、困難なスラーの決定は放棄して、音だけに絞ってそれらの資料を比較検討して作成しました。ただしアンナ・マグダレーナ・バッハの筆写譜を最重要なものとみなし、なるべくそれに従うようにしましたが、いくつかの箇所に関してはケルナーの筆写譜をもとに修正し、そのほかの資料は参考にとどめておきました。最終的な判断はすべて編集者(横山真一郎)によるものです。

アンナ・マグダレーナの筆写譜を最重要視したのは、それがバッハのもっとも身近な人物の筆写によるということもありますが、比較検討した結果、ケルナーの筆写譜はバッハの自筆譜の初期のものを筆写したのに対して、アンナ・マグダレーナは改訂したバッハの自筆譜(おそらく決定稿)を筆写したと思われるからです(ブログ本館の記事を参考)。

ただアンナ・マグダレーナの筆写譜をどこまで尊重すべきかは実に難しい問題です。彼女にとっても自分のミスに過ぎないものを、これぞバッハの本当に意図したものなどと思われるのは嫌なことでしょう。従ってこの楽譜はアンナ・マグダレーナの筆写譜を最大限に尊重しているとは言え、アンナ・マグダレーナ至上主義ではありません。アンナ・マグダレーナ至上主義なら、わざわざ楽譜を編集する必要はなく、彼女の筆写譜を見れば済むことですから。

また興味ある方は次の資料も参考にして下さい。各資料に関して詳しく解説しています(英語)。
http://www.bach-cantatas.com/Ref/BWV1007-1012-Ref.pdf

上記の比較検討に加え、現在の楽譜ソフトで作成してはいますが、外見上なるべくアンナ・マグダレーナの筆写譜を再現するように努めています。そのため楽譜の作成にはかなりの手間が掛かりますが、ようやく完成しました(2013年1月29日)。

また今まで作った楽譜におきましても、しばしば改訂していますので、時々最新版をチェックしてみて下さい。1ページ目の下に日付があります。さらに当然のことながらチェロ版をまず改訂しますので、ヴィオラ版、ヴァイオリン版の改訂はどうしても遅れてしまいますこともご了承下さい。

関連記事

「無伴奏チェロ組曲」全曲版

「無伴奏チェロ組曲」第1番(ト長調)
「無伴奏チェロ組曲」第2番(ニ短調)
「無伴奏チェロ組曲」第3番(ハ長調)
「無伴奏チェロ組曲」第4番(変ホ長調)
「無伴奏チェロ組曲」第5番(ハ短調)
「無伴奏チェロ組曲」第6番(ニ長調)
「無伴奏チェロ組曲」第6番、ト長調編曲版

「無伴奏チェロ組曲」ヴィオラ版

「無伴奏チェロ組曲」ヴァイオリン版

オランダのチェリスト、アンナー・ビルスマ氏のおもしろいインタビュー記事があります。
ぜひ読んでみてください。
posted by 横山 真一郎 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 無伴奏チェロ組曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/164995254
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。